こんにちは、E-M-Wです。
2020年2月28日にOLYMPUSからOM-D E-M1 Mark Ⅲが発売されました。
今回は、E-M1 Mark Ⅲと先代モデルのE-M1 Mark Ⅱのスペックを比較しています。
Contents
E-M1 Mark ⅢとE-M1 Mark Ⅱの主な違い
- E-M1 Mark Ⅲには新たにマルチセレクターが追加
- E-M1 Mark Ⅲには新たにマイメニューが追加
- 画像処理エンジンはE-M1 Mark ⅢがTruePic IX・E-M1 Mark ⅡがTruePic VIII
- シャッターユニットの耐久性はE-M1 Mark Ⅲが40万回・E-M1 Mark Ⅱが20万回
- E-M1 Mark ⅢにはカスタムAFターゲット機能が追加
- E-M1 Mark Ⅲには星空AF機能が追加
- E-M1 Mark Ⅲは顔優先/瞳優先AFが進化
- 手ぶれ補正の効果はE-M1 Mark Ⅲが最大7.5段・E-M1 Mark Ⅱが最大6.5段
- E-M1 Mark Ⅲには手持ちハイレゾショット機能が追加
- E-M1 Mark ⅢにはライブND機能が追加
- フルHD 1080P 動画撮影時、E-M1 Mark Ⅲは最大120FPSのハイスピード動画撮影が可能・E-M1 Mark Ⅱは最大60FPSの動画撮影が可能
- USB充電はE-M1 Mark Ⅲは可能・E-M1 Mark Ⅱは不可能
E-M1 Mark ⅢとE-M1 Mark Ⅱのスペックや新機能を比較する
外観
左がE-M1 Mark Ⅲで右がE-M1 Mark Ⅱです。
ご存知の方も多いかもしれませんが、E-M1 Mark ⅢはE-M1 Mark Ⅱとほとんど同じデザインになっています。
ボディ前面の変化といえば、名称のロゴがE-M1 Mark Ⅲの場合ボディ前面の下の方に移動した程度です。(E-M1 Mark Ⅱは軍幹部の電源スイッチの近くにロゴが刻まれています。)
そのためボディの大きさ・重さは、
- E-M1 Mark Ⅱが幅134.1mm×高さ90.9mm×奥行き68.9mm・重さ574g
- E-M1 Mark Ⅱが幅134.1mm×高さ90.9mm×奥行き68.9mm・重さ580g
と重さがわずかに6グラム増えているだけでほとんど同じです。
ちなみにボディのサイズが同じであるため、E-M1 Mark Ⅱの外付けグリップ「HLD-9」をE-M1 Mark Ⅲにも使いまわすことができます。
正面はほぼ変更点がありませんでしたが、背面側には重大な変更点があります。
それは、「マルチセレクター」の追加です。
マルチセレクターはオリンパスのミラーレス一眼カメラではE-M1Xで初めて採用されてました。
十字ボタンとは違い、素早い操作性と斜め入力が可能になり、被写体に素早くAFターゲットを合わせることができるようになります。
他社のミラーレス一眼カメラにも多く採用されている操作系統なので、革新的なものではありませんが非常に便利なものには違いありません。
ちなみに、マルチセレクターが追加されたことで、E-M1 Mark ⅡとE-M1 Mark Ⅲではボタン配置が少しだけ異なります。
- INFOボタンが十字ボタンの右下に移動
- MENUボタンはLVボタン右に移動
- FN1ボタンはISOボタンに変更
最後は上からに見てわかる変更点です。
ぱっと見でわかるのはホットシューの塗装の有無です。E-M1 Mark Ⅱはホットシューが黒く塗装されていましたが、E-M1 Mark Ⅲは金属がむき出しになっています。
そして、個人的に良いと思う変更点はモードダイヤルの項目の変化です。
E-M1 Mark Ⅱのモードダイヤルは「iAuto・P・A・S・M・C1・C2・C3・動画・アートフィルター」の構成でしたが、E-M1 Mark Ⅲでは「P・A・S・M・B・C1・C2・C3・C4・動画」の構成に変更されました。
私自身E-M1 Mark Ⅱ を使用している際、iAutoやアートフィルターにダイヤルを合わせたことはほとんどなく、カスタムモードが3種類しかないことに不満を持っていたのでこの変更は大いに満足です。
また、これ以外にボタン配置も少し変更されています。
- Fn2ボタンは露出補正ボタンに変更
- 「AF / 測光モードボタン・連写 / セルフタイマー / HDR」ボタンは、「AF / 測光モードボタン・連写 / セルフタイマー / フラッシュ」ボタンに変更
撮像センサー・画像処理エンジン
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
有効画素数 | 2037万画素 | 2037万画素 |
総画素数 | 2177万画素 | 2177万画素 |
E-M1 Mark Ⅲ のイメージセンサーは2037万画素で、
- E-M1 Mark Ⅱ
- E-M1X
- E-M5 Mark Ⅲ
と同様の物を採用しています。
イメージセンサーは残念ながら更新されませんでしたが、画像処理エンジンはE-M1 Mark ⅡのTruePic VIIIから新たに「TruePic IX」にバージョンアップしています。
TruePic IXは、E-M1XのダブルTruePic VIIIに迫る性能を持っており、5000万画素の手持ちハイレゾショットやライブNDなどの高度な処理が必要な機能を使用することが可能になっています。
手ぶれ補正
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
五軸手ぶれ補正 | 7.0段 | 5.5段 |
五軸シンクロ手ぶれ補正 | 7.5段 | 6.5段 |
E-M1 Mark Ⅱはボディ内手ぶれ補正の効果が5.5段、レンズ内手ぶれ補正との組み合わせで使用できる「五軸シンクロ手ぶれ補正」では6.5段の補正が可能です。
この時オリンパスの開発者は「現在の技術では地球の自転の影響を受けるため6.5段が限界です。」と語っていました。
しかし、E-M1 Mark Ⅱ 発売から3年余りの月日が経ち、ついにE-M1 Mark Ⅲは地球の自転によるブレまで克服することができるようになりました。
E-M1 Mark Ⅲの手ぶれ補正効果は、ボディ内五軸手ぶれ補正のみで7段・五軸シンクロ手ぶれ補正では7.5段とさらに強力に進化しています。
ファインダー
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
形式 | アイレベル式液晶ビューファインダー/約236万ドット | アイレベル式液晶ビューファインダー/約236万ドット |
倍率 | 約1.30倍~約1.48倍 | 約1.30倍~約1.48倍 |
視野率 | 100% | 100% |
アイポイント | 約21mm | 約21mm |
フレームレート | 120fps | 120fps |
E-M1 Mark ⅡとE-M1 Mark ⅢのEVFの性能は全く同じものになっています。
モニター
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ |
3.0型2軸可動式液晶 | 3.0型2軸可動式液晶 |
約104万ドット | 約104万ドット |
背面液晶はどちらも3.0インチ 約104万画素のバリアングル式で同じです。
AF性能
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
方式 | 像面位相差AF | 像面位相差AF |
測距点 | 121点 | 121点 |
測距点モード | オールターゲット、シングルターゲット(標準サイズ、小サイズ選択可)、グループターゲット(5点、9点、25点,カスタムAFターゲットモード) | オールターゲット、シングルターゲット(標準サイズ、小サイズ選択可)、グループターゲット(5点、9点、25点) |
AF動作特性 | C-AF追従感度(5ステップ)、AFスキャンモード(3種)、C-AF中央優先、C-AF中央スタート | C-AF追従感度(5ステップ)、AFスキャンモード(3種)、C-AF中央優先、C-AF中央スタート |
星空AF | あり | なし |
AFの方式や測距点の数などはどちらも同じですが、E-M1 Mark Ⅲは新たにカスタムAFターゲットモードや星空AF、さらに顔優先/瞳優先AFが大幅に進化しています。
出典:オリンパス
「カスタムAFターゲットモード」はE-M1Xにも採用されており、これは被写体の形や動きに合わせてAFエリアを自由に組み合わせて配置することができます。
出典:オリンパス
これまで星空を撮影する際、AFでは撮影できないためMF(マニュアルフォーカス)を使用するのが定石でしたが、この新機能「星空AF」はその名の通り、なんとAFで簡単かつ正解に星空にピントを合わせることができるモードになっています。
出典:オリンパス
さらに、顔認識機能ではOLYMPUSのミラーレス機は他社に遅れを取っていましたが、それは過去の話、E-M1 Mark Ⅲは「顔優先/瞳優先AF」が大幅に進化しています。
例えば、これまでは検出できなかった小さな顔や瞳の検出、横顔やうつむいた顔でも瞳を検出、さらに複数の顔からピントを合わせる対象を選択することもできるようになっています。
これらの新機能や進化は全て新しい画像処理エンジンTruePic IXの力があってこそできることです。
露出制御
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
iso感度 | 200〜6400 | 200〜6400 |
拡張iso感度 | ISO LOW(約64相当),12800,25600 | ISO LOW(約64相当),12800,25600 |
フリッカーレス撮影 | あり | あり |
使用できるiso感度・拡張iso感度に関してはE-M1 Mark ⅡとE-M1 Mark Ⅲは同じです。
シャッター
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
メカシャッター | 60秒〜1/8000秒 | 60秒〜1/8000秒 |
電子シャッター | 60秒〜1/32000秒 | 60秒〜1/32000秒 |
シャッタースピードもE-M1 Mark Ⅱと同等のメカシャッターで最大1/8000秒、電子シャッターで1/32000秒です。
ドライブ
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
連写H | 約15コマ/秒 | 約15コマ/秒 |
連写L | 約10コマ/秒 | 約10コマ/秒 |
静音連写H | 約60コマ/秒 | 約60コマ/秒 |
静音連写L | 約18コマ/秒 | 約18コマ/秒 |
プロキャプチャー連写L | 約60コマ/秒 | 約60コマ/秒 |
プロキャプチャー連写H | 約18コマ/秒 | 約18コマ/秒 |
連写性能もE-M1 Mark Ⅱと同等です。
ハイレゾショット
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
三脚ハイレゾショット | 可能 | 可能 |
手持ちハイレゾショット | 可能 | 不可 |
画像処理エンジンの項目でも解説しましたが、E-M1 Mark ⅢはE-M1 Mark Ⅱにはできなかった5000万画素の手持ちハイレゾショットが可能です。
これまでのハイレゾショットは三脚が必須だったため、常に使える機能ではありませんでしたが、手持ちハイレゾショットであれば、いつでも気軽に5000万画素の超高解像の写真を撮ることができるようになります。
ライブND
出典:オリンパス
「ライブND」はE-M1Xから受け継いだ新しい機能です。
一般的に水の流れなどを撮影する際、レンズのNDフィルターを装着し露光時間を延ばしますが、このライブNDを使えば、擬似的に露光時間を延ばし、NDフィルター無しで長秒撮影が可能になります。
ちなみに効果の段数もND2(1段分)~ND32(5段分) の五段階から選択することできます。
段数を設定したら背面液晶やEVFで結果をプレビューすることができる点がとても便利です。
USB給電
出典:オリンパス
E-M1 Mark Ⅱ もE-M1 Mark ⅢもUSB-C端子を持っている点は共通していますが、一つだけ大きな違いがあります。
それが、「USB充電機能」です。
皆さんスマートフォンやタブレット等を充電するためにモバイルバッテリーをお持ちだと思いますが、それを使ってE-M1 Mark Ⅲを充電することができます。(PD規格対応のモバイルバッテリー)
これで移動中などカメラを使わない間にバッテリーを充電できるようになり、バッテリー切れでシャッターチャンスを逃すなんてことも少なくなるのではないでしょうか。
マイメニュー機能
出典:オリンパス
E-M1Xに搭載されていた機能で、個人的にとても気になっていた機能です。
E-M1 Mark Ⅱのファームウェアアップデートで追加されないかと期待していましたが、結局その願いは叶いませんでした。
しかし、E-M1 Mark Ⅲにはこの待望の機能が追加されています。
OLYMPUSのみならず最近のミラーレス機は豊富な機能がありすぎて、使い慣れたカメラであっても自分が使いたい機能を見つけ出すのに苦労することもしばしば。
このマイメニューはそんな苦労から解放してくれる夢のような機能です。
自分がよく使う機能を計35個登録することができ、それらの機能をマイメニューから即座に呼び出すことができるようになります。
動画
まず第一にE-M1 Mark Ⅱではできなかった、フルHD 120FPSのハイスピードムービーが撮影可能になりました。
それ以外には
- マニュアルモードでの動画撮影時、オートISOを使用することが可能になった
- 動画撮影時のAFエリアにグループ9点・グループ25点が追加
- 動画撮影時のAF/手ぶれ補正の詳細な設定が可能になった
このような撮影をサポートする機能が多数追加されています。
Wi-Fi ・Bluetooth機能
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
Wi-fi | IEEE 802.11b / g / n/ac | IEEE 802.11b / g / n |
Bluetooth | Bluetooth Ver.4.2 | なし |
E-M1 Mark ⅢにはE-M1 Mark Ⅱ にはないBluetoothによるスマートフォンへの写真転送機能が搭載されています。(wi-fiも可)
さらに便利なのがこれまでカメラのバージョンアップや設定のバックアップを保存するにはPCに接続する必要がありましたが、E-M1 Mark Ⅲはスマートフォンアプリの「OI.Share」経由でそれらを行うことが可能になっています。
電源
E-M1 Mark Ⅲ | E-M1 Mark Ⅱ | |
使用電池 | BLH-1 | BLH-1 |
撮影可能コマ数 | 約420枚(低消費モード時約900枚) | 約440枚(低消費モード時約950枚) |
連続撮影可能時間 | 約85分 | 約90分 |
両機種ともバッテリーは「BLH-1」を使用しますが、E-M1 Mark ⅢよりE-M1 Mark Ⅱの方が撮影可能枚数がやや優っています。(誤差程度ですが・・・)
動作環境
どちらも防塵・防滴・-10℃耐低温性能を持っています。
主な同梱品
E-M1 Mark ⅢとE-M1 Mark Ⅱの同梱品の内容はほぼ同じですが、大きな違いが一つあります。
それは、E-M1 Mark Ⅲにはフラッシュ(FL-LM3)が付属されていない点です。
E-M1 Mark ⅡやFL-LM3が付属されているオリンパスのミラーレス一眼カメラを既にお持ちの方の場合は、それを使えば問題ありませんが、新規でE-M1 Mark Ⅲを購入する方は新たに購入する必要があります。
E-M1 Mark ⅢとE-M1 Mark Ⅱ、どちらがオススメか?
E-M1 Mark Ⅱユーザーにとっては、イメージセンサーやEVFが同じ仕様であるE-M1 Mark Ⅲに買い換えるかは非常に悩ましいところです。
初代E-M1からE-M1 Mark Ⅱにバージョンアップした際はかなり大幅な進化を遂げており、それと比較するとE-M1 Mark ⅡからE-M1 Mark Ⅲへの進化はそこまで大きなものとはお世辞にも言えず、マイナーチェンジと言われても仕方ないかもしれません。
しかし、E-M1Xの特徴である手持ちハイレゾショット・最大7.5段の手ぶれ補正・ライブNDなどの機能をコンパクトなボディで使用できる点や、顔優先/瞳優先AFが進化・マルチセレクターの追加・マイメニュー機能の搭載・星空AFなど、より撮影を快適にする新機能等が追加されており、カメラとしての完成度がE-M1 Mark Ⅱよりも高まっています。
そして、E-M1 Mark Ⅲは今後ファームウェアアップデートによりさらに進化することも見込まれます。(旧機種のE-M1 Mark Ⅱは今後恐らくファームウェアアップデートが行われることがないと思われます。)
E-M1 Mark Ⅱユーザーはその点を踏まえて購入を検討すると良いでしょう。
ただ、現在E-M1 Mark Ⅱをお持ちでない方がE-M1 Mark ⅢとE-M1 Mark Ⅱのどちらを購入するか悩んでいるのであれば、迷わずE-M1 Mark Ⅲの購入をお勧めします。
価格を比較するとE-M1 Mark Ⅱの方がお得ではありますが、E-M1 Mark Ⅲは手持ちハイレゾショット・最大7.5段の手ぶれ補正・顔優先/瞳優先AFが進化・マルチセレクターの追加など、価格差以上の魅力を持っています。
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